交通事故に遭った後、外から見てわかる怪我だけでなく、むちうちなどの神経が傷ついたことによる症状や、事故当時の光景がフラッシュバックするなどの精神的な問題なども少なくありません。
今回はその中でも、症例で多く見られる「不眠」について、治療法と共に挙げていきます。
不眠の原因について
たまたまその日だけ寝付けなかった・眠れなかった等は誰にでもあるものですが、何日にも渡って眠りについて異常があり、日中の生活に支障が発生すると不眠といえ、主な原因は大きく5つに分類されます。
これらはアルファベットの頭文字から、5つのPと言われます。
〇身体的なもの(Physical)
中枢神経/循環器系/呼吸器系の疾患によるものなど
〇生理学的なもの(Physiologic)
時差ボケ/夜勤などの交代勤務/生活リズムの急激な変化など
〇心理学的なもの(Psychologic)
精神的なストレス/トラウマ/喪失的な体験・怖い体験をしたなど
〇精神的な疾患に伴うもの(Psychiatric)
うつ病/統合失調症など
〇薬理学的なもの(Pharmacologic)
アルコール/向精神薬/降圧薬の副作用など
交通事故での不眠の原因として、身体が痛くて眠れないなどの身体的なものと、事故当時を思い出して恐くなってしまったり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病などの心理学的・精神的なものに分かれます。
身体的なものによる不眠
身体内の脊髄や神経系に損傷があると、その部位だけではなく違う箇所も痛むようになります。
そうなると判断が難しいので、判断ができる専門医に掛かります。
耐え難い痛みが続くと眠れなくなるのはもちろんですが、人類は痛みがあるだけで不安になってくる生き物です。
不安になると自律神経が乱れ、血管が急激に膨張するなどで神経が圧迫されたことで更に痛みが増すこともあります。
そうなると更に不安の悪循環に陥り、不眠に繋がるのです。
特に衝突などで頸部が鞭のようにしなり伸ばされすぎたことによるむち打ちは、首の痛みやめまい・吐き気・手足の痺れ・倦怠感等が長期に渡って起こる事があり、ストレスにより精神的な疾患を発症させることがあります。
身体的なものに関しては民間療法で良くなる事はない上に保険の請求の対象にはなりませんので、悪化する前にぜひ当院での治療をお勧め致します。
心理的・精神的なものによる不眠
身体的なものからの不安により症状が出たり、元々の性格によるものであったりと根本的な原因は多岐に渡ります。
何らかの原因による自律神経の乱れが主に不眠となる要因ですが、この自律神経とは身体の活動を調整するために24時間常に働き続けているものです。
交感神経と副交感神経の2種類あり、どちらかが優位になることで活動が調整されます。
日中に活動しているときは交感神経が優位に、眠るときやリラックスしているときは副交感神経が優位になり、それぞれ優位になると活動される器官が異なります。
しかし自律神経が乱れると眠るときに劣位になるはずの交感神経が活発になり、イライラしたり眠れなくなったりという状態が続く上に、日中に副交感神経が活発になり活動したい時間に眠くなるなどの厄介な症状が発生します。
事故によるトラウマや恐怖によるものは、精神科や心療内科などを受診してみましょう。
特に心当たりがなく、事故の後から疲れやすい・やる気が出ない・倦怠感・イライラするなどの諸症状が出る場合は自律神経が乱れている場合が多いです。
神経科や心療内科などを受診してみるのはもちろんですが、自身で自律神経をコントロールすることも大事です。
コントロールする方法として、規則正しく時間通りに生活することが一番です。
朝、目が覚めたら朝日の光を浴び、暗くなったら照明は明るくせずに暖かい色の照明を取り入れましょう。
自律神経を整える食べ物を取り入れることもおすすめです。
脳をリラックスさせイライラから解放させるといわれるGABAやストレスに負けないようにアドレナリンを生成してくれるビタミンCなどのビタミン群、他にも気持ちをリラックスさせ「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンを生成できるトリプトファン等、自律神経を整える働きのある栄養素は多いので、ぜひ積極的に摂っていきましょう。
他にもマッサージでこわばった筋肉をほぐして心身共にリラックスさせたり、アロマテラピーやハーブティを生活に取り入れるなどの方法もあります。
おすすめは副交感神経を優位にしてリラックスさせてくれるといわれるラベンダーやフランキンセンスです。
交通事故による不眠の原因は様々ですが、症状別に対処をすれば改善されます。
まずは当院で相談をして、ぐっすり眠れるようになりましょう!